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 ←赤いスープを もう一杯 →...breath you
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なにかのつづき

春に よろしく

 ←赤いスープを もう一杯 →...breath you

(季節外れの、、)







わらわらと講堂を出る 一行の中にその人を見つけると同時



隣の同級生は くいっ、と別の方向へと親指を差して 離れていったので、テミンは心置きなく駆け寄ることができた。




「先輩、オニュ先輩!」



呼ばれた相手は 真面目な表情を一気にほころばして
“温流”とあだ名される 評判の良い柔らかくて暖かな笑顔をして出迎えた。

いつもより、少しばかり前髪は整えられていて 式典用の堅いジャケットには左胸で、赤いリボンがひらりと揺れて

(いつもと別の人みたい。)

ふふ、と両手で口を覆ったのは
温厚なオニュの気を少しも害したりはしなかった。



「やあテミナ、来てたの。
いつも一緒の彼は今日はいないのかい?」

「ジョンイニならば たった今自分とこの先輩へ挨拶に行ったよ。天文部の。」


ああ、とオニュは頷いて
それからふたりは 天文部なのに催し物はどうしていつも歌とダンスありきなんだろう とか、校歌独唱なんてイェソン先生の愚案が何故通ってしまった だとか、ミノ代表のスピーチは涙と鼻水で聞くに堪えなかった だとかを話しながら、中庭を眺めるベンチへ腰掛けたんだった。


「―、それじゃやっぱりジンギヒョンのソロは必要だったじゃないの。」
「よしてよ。目立つのは嫌いだったら。」


どんなに褒め称えても 案の定、苦く笑って謙遜して、

彼の 歌声が惜しげ無く披露された時、
式典の場はざわめいて、どこにそんな才能を隠していたのだ あのイ・オンユが(彼の本名を知らない人は多いのだ。)と大絶賛だったというのに。テミンは歯がゆくも何故かひとり、誇らしかったりした。



風は冷たくて、
暦の上では訪れているはずの しかしまだ間に合っていない季節について言うと、
「直に来るだろ。」
と、ベンチの背にある花壇の 動き出しそうにこんもりとしたとこを見て
まるで知り合いを待つみたいに確信して言うんだった。


遠くを眺める横顔の、

こんなに大人だった?と
緊張に ほんのすこし沈黙して、


「ついに、ですね。」
時間を埋めるために下級生が言うと、

「そーだねえ。」
上級生は 足をぷらぷらと、まるで他人ごとみたいに応えるのも、それは いつものこと。

視線は、中庭の真ん中ほどにあって

(あ、じょんいに。)

賑やかな一団の中に親友はいて、
ぼろぼろと号泣する先輩方に肩を抱かれて いつものクールな顔は照れ臭く揺れていた。



「ヒョンは、泣かないね。」
「どうして、だって 惜しいものなんて特にないもの。」

当たり前に応えるので
テミンにはやはり言葉が無いのだ。

「ああ、ごめん。」
「ううん、そうだろうと 思ってた。」


優しく親身で いつも楽しそうに聞くのに ひとたび話が自分の学校生活へと及ぶと途端にどうでもよくなるのは、

苦い顔をするんでも不安がるでもない、
無表情に さあ、どうだっけね と

ただ本当に関心が無いのだ。




「あの、先輩のところに 行くんですか。」


一瞬あとに 誰か気づいて
目を円らに泳がせるけれど、

オニュにとって あの先輩 と言えば誰のことかは今更、である。



「まさか 今英国だよ?
優秀なんだ。期待されてんだ。やらなきゃいけないこととやりたいことが膨らんで
きっと、僕のこと考えてる暇なんて無いさ。」

先ほどの、彼の歌声への称賛をテミンが誇らしく思ったような図々しさは、彼に無く


“伝説の三会長”と呼ばれる人たちの中でも最も若いながら“学園史上最強の生徒会長”と冠される彼に、オニュが随分と可愛がられていたことは
入れ違いで入ってきたテミンもよく聞かされていた。
オニュについて言うならば ◯年◯組のイ・ジンギ、と言うよりは
あのチェ会長の、と言う方が簡単に伝わるくらいだ。

頭脳明晰な彼に学校生活を助けられて、とオニュは言っていた。
家柄、容姿にまで完璧な彼が どうしてそんな冴えない下級生を、といまだに影で話す輩はいて テミンは噛み付きそうになったことがあったが、
本人はそれすらも興味無さげにかわすので、
会ったこともない相手に面白くない気持ちを抱いているのが本当だ。ただ、その見る目の確かさは認めざるを得ないが。




「じゃあ、待つんだ。」

「さあてね、どうだろ。だって彼は、」


―もう、制服を脱いでしまっているからね。



制服の時間に何があったか知らなくて、
(聞いたとこで忘れたふりをされるだろう。)

けれど、そこに自分の入るところなど無い くらいテミンは知っている。



「あ の、」

気まずさに耐えかねた彼は、
ふは、と息をもらして

「実家から大学に通うって、前に言ったろ。やっと家族に帰るんだ。」


自分の寂しさには無頓着で、
誰か、のには酷く心を配るのだ。




「しかし、あの 泣いてたテミナが 二年生とはねえ。」

信じられない、としみじみ言った。

「失礼な!あれから一年経ったのだもの、、てか泣いてないし!」

「ごめんごめん。しかし
これからちゃんと起きれるかい?僕はもう 起こしに行ってはやれないからね。」

「んんぅ、ガンバる。」

「お腹痛くなったら 我慢せず保健室へ行くんだよ。」

「…校医先生のいない日なら行くよ。」

「もう、あれこれ忘れ物や失くし物するんじゃないよ。」

「だって、あれこれ持ってくの煩わしくて、」

「数学の宿題もちゃんと自分でしなさいよ。」

「数学なんて嫌いだ。何の役に立つか分からないしさ。」

「何言ってんのさ。今度の先生は前の先生よりはずっと優しいんだから。教え方はいくらか落ちるけれどね。」

痛くないでこぴんに、情けない思いをする。下級生はいつまでも下級生のままだ。

「大丈夫かなあ、もしテミナみたいな後輩がいたら 今度は助けてやんなきゃいけないんだぞ、」


かの立派な先輩がオニュにしたように、
オニュが一年前自分にしてくれたように、


「分かってる。」

オニュにできないことを 他の誰にやってやる理由なんてないのに、

「僕だって、いつまでも あんな弱虫じゃないからね。」
ただ 彼の安心のためだけに言ったりするのだ。


おや、

隣の彼は こて、と頭を斜めにした。

「僕 あれを弱虫だなんて思ったことないよ。
やや、ごめん。
テミナが がんばり屋なの、知ってるから 応援してる、ってこと。」

まるで教科書を読むように 当然として言うので、


照れ臭くうつむく弟分に
突然に


「ちょっと待って、分かったかも。」
分厚い唇が柔らかく開く。



「僕にもあったよ、惜しい ってやつ。」

「お、しい?」


―そ、思いがけず手にすることができて よかったもの。手放すには 勿体のない、大事なの。


「泣けるほどかは分からないけどね。」

(あ、さっきの。)

ひょい、と人差し指を立てる。


「先輩。
僕の、目的を助けてくれたんだもの。いつも 僕を見守ってくれていた。」


つきん、と左胸が苦しい。



ぴ、とニ本めの指が上がる。

「あとは、食堂のチキン料理でしょ。

絶品だよ、食べてみて。もう僕のために嫌いなふりなんてしなくていいんだからさ。」

「あれ、バレてましたか。」


彼がおいしく食べるのがうれしくて、
同じくチキンマニアの親友に 俺が食べてやるのに、と溢されたことは数えきれない。





それから、



「テミナ。」
「ん?」

三本めの指はゆっくりと起きていた。


「ぼ く ?」


「そ だよ。

僕がこの学校へやって来た理由は早々と解決して、彼も卒業していよいよ、 この学校にいたいとは思わなくなった。それでも僕はいなきゃならなくて、
僕は、 最後まで、って。それこそ目的を果たすための手段だったものだから。
だから 自分のためなんて思ったこと一度もなくて、

それだから あの日、去年の入学式、
空き教室に逃げ込んだ君を見つけて、これはいけない って。自分を棚にあげてね、
随分とお節介をしたね。」


―おせっかいなもんか。

学校という場所が怖くて堪らなかったテミンを、
優しく拾い上げたのはオニュだ。


「テミナ、学校は 楽しいかい?」
ことあるごとに、オニュは尋ねた。
自分のための学生生活を送らないまま

誰かの、学生生活を気にするままに、



「は い 、楽しいです。

ここには悪口を言う人はいないし、物が失くなることもありません。
朝は 今でも苦手だけれど、起きるのが怖いだなんて思わないし、お腹 いたくならないよ。
勉強のふりして閉じ籠もる必要も無ければ、一緒にダンスのできる友達だってできたんだ。生まれて初めての大親友だよ。
ご飯もいつもおいしいし、もう チビでやせっぽっちじゃあありません。
だから もう
もう、逃げたいなんて、思わない。」



だとしてもテミンは あの日、学校から逃れようとしたのを後悔なんて出来ない。


だって、


「ヒョンが、見つけてくれたから。」

(僕の学校生活は

ヒョンのおかげで
ヒョンの分まで)

「とっっても 楽しいです。」


ほんの一瞬だけの 唖然、のあと

くす り。


「テミナったら。それは ぜぇんぶ 君の力じゃないか。僕じゃない。
でもそれを聞けたならよかった。 だって、学校ってそうこなくっちゃ。




なん、だ。三年間のうちに3つも惜しいものが見つかったのならば
僕は ここに来た甲斐があったかもしれない。



ありがと、テミナ。
僕の3年間を意味のあるものにしてくれて。」



「あ、あのヒョン…!」
こちらこそ、の気持ちを明かす時に、


『おーい、オニュヤ こっちで写真撮ろうぜ。』


級友たちが彼を呼ぶ。


「それじゃあ テミナ。良い、春休みを。」

それじゃまた、新学期には会えるみたいな挨拶で 立ち上がるんで

ポケットに隠した、餞のプレゼントは渡しそびれた。
テミンの、つまりニ学年下の象徴色によく似ているハンカチで、ブランドのロゴは彼のイニシャルに読めなくもないやつだったのに。
(校章とイニシャル入りのものは他人に贈っちゃいけないと校則が変わってから、それが流行っているのだ。)
ひょっとしたら 今夜、自分の瞼にこそ必要かもしれない。




「ジンギヒョン!ご卒業 おめでとう!!」


慌てて別の餞を やはり、これからの季節のような笑顔で受け取るんだった。



別れ際 ジンギを今までに無く、晴れやかにして連れてゆくので



テミンは少し、






春に 嫉妬した。








  
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~ Comment ~

閉鎖的な空間の中のものは、その中でだけ存在するものなのか、それとも確かに存在するものなのか。

外に出たときに答えが出る気がします。

先に外の世界を見ている彼、そしてこれから外の世界を見る彼にとって、変わらずに確かに存在するものであったと、なればいいなあ。

まひろさん、

お久しぶり?です~♪

いつもお話を補完してくださるようなコメントありがとうございます。今回も楽しく読ませていただきました。

あの時間が自分にとって何だったか、それはしばらくして意識しなくなった頃に気づくんだなあ、と
実は私が最近いろいろあった大学を卒業したものですから書いてしまいました。。

ちょっと、例の件の衝撃でお話から遠ざかっております( ´△`)今はこのような感じでご容赦下さい。

お久しぶり?です。
あー、でもでも。
こちらのブログのチェックはしてましたよ。

……例の件ね。
ちょっと、私もモヤモヤしております。
しばらく書けなさそうです…ははは。

Re:

私も毎日遊びに行っておりました(^^)

例の彼への記事は何となく心の拠り所になるような気分でした。ありがとうございました♪

NoTitle

きゃ〜!読みました!

テミンぐんの、恋心的な想いは、
伝わらないまま?せちゅない!

おにゅもまた、先輩への特別な気持ちがあったんではないかなてと
思ったりして…

おにゅの、自分の為じゃない、誰かへの優しさが目に浮かぶくらい、分かりやすくて、キュン🎶としました

♪(v^_^)v

ともさん♪

この時間?珍しいね(^^)


そうねえ、オニュは学校の伝統に恨みがあるわけだから 2人を引き込むのも嫌だしねえ。どちらにも恋とは限らずとも愛はあるってことで。

自分の卒業に託つけて、それぞれの卒業を書きたかったんですよぉ。やはり「なにかのつづき」は蛇足です。
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