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パラレル

ライムグリンは月の色 3

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parallel







リョウクは本当にいい子だ。




いつもニコニコ笑っていて
繊細で気が利いて
女の子みたいに感動屋で


でもとてもしっかりしている。


キュヒョニは僕には甘えるけれど
恋人には随分強気だ。


三人称では俺の「男」と呼ぶ。
そんな彼にも不平の顔一つしない。


料理もすごく上手くて
何度お呼ばれしただろう。
器に顔を突っ込んでガツガツ食べるキュヒョニをいとおしそうに眺める。


僕はすっかり当てられていた。


リョウクは僕を恋のキューピッドと思ってくれているみたいで慕ってくれる。
でも人懐こい彼が僕をヒョンと呼ぶのはキュヒョニが許さない。

「ソンミニヒョンは俺だけのヒョンなんだからな。」

そうやって長い腕で僕の腕を組み、細長く白い指でリョウクの髪を掻いた。


だから僕のことを先輩だとかソンミンさんと呼ぶ。



僕はまたそういうことで得意気になるんだ。






キュヒョニが作った曲をリョウクが歌い
リョウクが選んだ曲をキュヒョニが歌う。
僕の知らない歌を。


そんなお決まりのステージに飽きて
僕の足は彼らの店から遠のく。いや、あくまでも学業とバイトに専念するため。



リョウクがいれば、あの子は安心だから。






しばらくして
カフェでのバイト中に店のガラスがノックされた。
見れば、手を繋いだ



キュヒョニとリョウク。


僕は喉の奥が苦くなる。




どうしたの?と聞けば、

「少し前にあのマンションに越して来たんですよ、僕たち。」


あの、と指したマンションは古ぼけて住人も大分減ってしまったもの。映画に出てきそうなレトロな雰囲気が好きで僕はよくそれを眺めていた。


―僕たち。

彼らの外側の手には食材や日用品の詰まったショッピングバッグ

ほどこうとしない繋がれた手

僕は目を反らした。



「最近付き合い悪いからさ、ヒョン。これでまた遊んでもらえる。」

こんなに近いならさ、と言ってキュヒョニは僕の耳を摘まんだ。



二人の、邪魔しちゃいけないからさ、
なんて遠慮すると

何言ってんです。先輩なら大歓迎です。

てリョウクは笑顔を弾けさせたっけ。




僕の憧れのマンションへ二人して消えて行くのを見送った。
二人の身長差は微笑ましかった。




明るいうちにカフェの前を通って手を振るのはリョウク
暗くなって裏口に立つ僕を見送るのはキュヒョニ。




僕はまたそれを見守る。





ある夜、その日は僕ひとりで店を閉めて帰ろうと裏口に立ったとき

静かな夜


は駆け足の音に壊され


「ソンミニヒョン!!」


僕は呼ばれた。




「リョウク…?」



彼には許されていない呼び名を使うほど



彼は必死で



「キュヒョナが…キュヒョナがぁっ、」



青ざめたリョウクの脇をすり抜けてマンションの部屋へ駆け込むと

キュヒョニは二人用のベッドに頭をもたげて
ぜぇぜぇと苦しそうに息をしておかしな汗をかいていた。


「帰って来たときに具合悪そうだったから、薬飲んで、とは言ったの……しばらくして見てみたら…こんなになってて、、、」


足元に転がるのは、必要以上に開けられた薬の容器が2種類と、アルコールの瓶―


「…キュヒョナぁっ」


どうしよう、と叫ぶだけで動けなくなっている恋人に代わって救急車を呼んでやると
頭をベッドから下ろし床に横たえてやった。
キュヒョニが乱した優しい色のベッドカバーを二人で選んだであろう洒落たライトが照らしている。



以前にもキュヒョニは
薬の用途を大きく違えて使ったことがあったっけ。わざとかどうかは知らないけれど、それを見ていたのも僕だったから
これも特別意外なことじゃなかった。


救急車を待つ間
青ざめて震えながら恋人の名前を呼ぶしかできないリョウクを傍らに
僕はいやに落ち着いていた。



だって、僕がしっかりしなくちゃいけないんだろ、、、






通報したときに指示された処置を済ませて
僕はガクガクと震えるキュヒョニを見つめて納得していた。



ごくたまに自棄に走るような大胆な行動を取ることがある。



キュヒョニは本当に人との距離を測りかねて
だから独り部屋に籠れる仕事を選んだんだ。
ほんとうはどうしようもないくらいアガリ症で大衆の前で歌うのが怖かったんだ

…だから歌うことをやめていたんだ。


そういうバランスを取るために彼はあまりに個性的に振る舞っていたこと








僕はそれを知っていて、
誰にも言わなかった

あまりにも近い恋人にも


だって、僕が知っていればよかったし



だって、自分から選んだんじゃないか


僕が勧めたから?


リョウクがいたから…




だって、リョウクと出会ってからは大丈夫だったじゃないか、、、










救急車が到着して、運ばれるキュヒョニの後について外へ降りる僕ら


同行者を、と促されて
彼が、とリョウクの背中を押すと彼は首を振って僕の腕を掴んだ


「い、嫌だ…怖いよ。僕、どうしたらいいの、、、ソンミニヒョンがっ、一緒に、、、」




ぱぁーーんっ



掴まれた腕を振り払うと、僕はリョウクの頬にぶつけた


「何言ってんの、ふざけるな、ふざけるなっ!!君が、キュヒョナのパートナーだろっ?!!」


リョウクの細い肩を揺すって言ってやった



君が―

お前が――



若干引いている救急隊員を脇に

リョウクはやっと目が覚めて


「僕行きます。」

と、きっぱりと車内に乗り込んでいった。






遠ざかる救急車を見送って
マンションの向こうの夜空に目をやると、小さく月が浮かんでいた。


おんなじ色だ
華奢な彼によく似合って、今も着ていたカットソーの


ライムグリーン。




綺麗な、綺麗な月を見て
認めたくはないけれど
僕は確かに思ったんだ




「リョウクさえ、いなければ。」















数日経って、僕はその日のことを誰にも言わないまま
いつも通りやっている。



キュヒョニが退院しました、とだけ控えめなメールは入ってきた。

それは良かった、と適当な絵文字を付けて応えると



今度こそ可愛らしい絵文字の入った彼らしいメールが返ってきた




本当にありがとう、ソンミン先輩。

といじらしく綴られていたので
ヒョンでいいよ、と返して終えた。







今夜もひとりで戸締まりを終えると


「ソンミニヒョン!」

といつかのように澄んだ声が僕を呼ぶ。



振り返って見上げると
いつものように寄り添う二人



けれど今までよりさらに密着して
リョウクもキュヒョニの腰に腕を回すようになっていた。




あのときの粗相は
彼の自慢の声を奪わなかったみたい。


ああ、良かった。
だってそれは僕の大切な――




リョウクは今日も可愛く笑ってこちらに手を振っている。

キュヒョニは決まり悪そうに笑って片手を挙げた



口の動きだけが届く


「ごめんね」
「ありがと」
それから
「――…」


言い終わると同時にリョウクに叩かれ、見つめあう二人


ねえ、何て言ったの



反対の手に持つビールの缶を指さして睨んでやると
肩をすくめて、さっさと部屋へ逃げていきやがった。



今日も二人にお似合いの
ボーダーTシャツとライムグリーンのカットソー。


本当に、お似合いなんだ。







「……っ」



あれ、僕、今


自分にも聞こえないほどの

でも確実にした舌を打つ音は

響くことなく月浮かぶ夜空に溶けていった。




―ああ、僕はまたひとつ

自分を嫌いにならなければいけない。








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~ Comment ~

こんにちは★

キュミンぺんなので
切ないですが

このシリーズ大好きです★

情景や心の描写が素敵だなぁ……と
(*´∀`)♪

はじめまして~

ともさん


うれしいコメントありがとうございます。

とっても励みになります(○´艸`)

こんな風にゆるっとがんばりますんで
よろしかったらまた、遊び来てくださいねー♪

NoTitle

とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!

はじめまして☆

f(x)初心者さま、こんにちは。

魅力的\(◎o◎)/だなんて
嬉しいお言葉ありがとうございます!


また遊びにお越し下さいね( ☆∀☆)

は、名前間違えてしまった!!

失礼しました。
せっかくいらして下さったのに、ごめんなさい!
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