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SHINee

お姉さんはとてもキレイ。

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 二階上のスタジオに行きたいのに、どういうわけかエレベータは全て使われていたので、
若さにまかせて階段で目的地まで向かうことにした


一つ上階へ上がり終わったところの踊り場へ足を着けると
不意に服の裾を引かれ驚いてしまった。



ちゃんと見なくてもその人は僕の知った人で
階段の柵の陰に膝を抱えてしゃがんでいた。

「テミナ。」

くすくすと、優しい声が僕を呼ぶ。



ヒョ…
違った


「…ヌナ」


ごめんね、びっくりさせちゃった?なんて彼女はふわっと笑った。

久しぶりだね、って隣に座れば


「ほんと久しぶり、しばらく見ない間にかっこよくなって」


大きな掌に優しく撫でられる額に、僕の体温はすべて集まって
とくん、と胸が鳴る。



「いつまでも子供じゃないんだ。
ひょっとしたら僕、ミノヒョンの次に大きいかもだよ。」


「知ってる。あたしも抜いてるかも、でしょ。」


「ねぇ、久しく来なかったのに、どうしたの、」



なんて聞かなくたって分かってる。
彼に会いに来たんでしょ。

彼女は照れて下を向く。



彼女が現れるのは大抵彼を強く思うとき。

だけど結局会えなくて、こうして僕を捕まえる。





僕がこの人と初めて会ったのは練習生の頃。
忘れ物を取りに練習室まで走って戻ると
誰もいない部屋で一人、音楽を聴いていた。
それが僕の忘れ物で、歌の苦手だった僕に憧れの先輩が貸してくれたMDだったから、それを持って帰りたくて
とても夢中で聴いているのに声をかけたんだった。



「すごく熱心に聴くんですね。」

と言うと

「大好きだから。」

と今ではおなじみのふんわりとした笑顔がやってきて

「この曲?」

と聞くと、少し声を小さくして

「歌っている人が…」

と答えた。その横顔を僕は素敵だと思ったけれど、
それよりもその答え方が気になった。




だってその人が僕にMDを貸してくれた先輩で、それにはその人自身の声が入っているんだから。


彼女は、自分と同じ形の人に恋をしていた。






その先輩とチームメイトになってからも彼女が彼に会いに来るのによく出くわして、
僕たちは仲良しになった。
ほんとうのお姉さんみたいに親切で暖かくって
誰も知らないようなことに気付いて、いつも心配してくれて


僕は、その、




大好き、だった。


だからこうして会えるのが嬉しいのに、いつも予告なしでやって来るのが惜しい。
突然やって来て驚かされて、変な声を挙げたカッコ悪いところを笑われるんだから。

それに毎回彼の話ばっかりする。
そりゃ、僕も尊敬するヒョンだから、楽しいんだけれど、

その話なら知ってるよ、って言ってやると


テミナは何でも知ってんのね、って大人の顔をする。
彼女は彼より少し大人びていた。




それなのに、
彼女は彼の恋人って胸張って言うのに

実は二人は一度も会ったことが無い。
残念ながら彼は彼女の存在すら知らない。


それって、恋人じゃないじゃん
って前に一度言ったことがあるけど


いいんです、あたしと彼は一心同体なんだもの。
誰よりも彼のこと分かってるのは、このあたしなんですからね。


って、当たり前のことを得意げに言った後、
すごく悲しい顔をしたのを覚えてる。

それでも彼女は、自分よりも彼や僕ら弟たちのことを優先するもんだから、
僕はもうそんな野暮を言うのはやめたんだった。


彼女は彼の歌が大好きだと言った。
それなら僕も大好きだよ、と言うとあたしの方が、と張り合うから仕方なく譲ってあげたけど。

好きすぎて一度、ステージ中に現れたことがあったっけ
自覚の無い彼に後でずいぶんと嫌がられたし、僕もびっくりして振りを間違えて怒られちゃったのに、
ヌナは舌を出して笑ってた
天真爛漫なところはほんと同じ。

ほんとうに、



彼の通り名は、優しくて温かくて柔らかい、彼女に付けられたものなんじゃないだろうか。


それくらい彼女はよくよく姿を現すのに、
誰も彼女を知らない、僕以外は。


そう、
彼女は彼の中にいる。

つまり、僕もおかしな恋をしている。






「ねぇ、彼どうしてる?」

三人称で呼びかけながら彼女は自分を指差した。

「それはヌナがいちばんよく知っているはずでしょ?」

う~ん、と彼女は目を伏せた。
どうやらいちばん近くにいても分からないことはあるみたい。


カムバックの準備に重なって
それ以前から続く国内外の仕事に、単独での仕事、兄として弟たち個人の仕事も把握しなくちゃならなくて
大人たちの要望を聞いて僕たちの我侭も受け入れて

そう言えば最近またあまり話さなくなったな。

他のチームほど僕たちは人数も多くないしやんちゃしているつもりはないのに
彼の立場と僕のいるところではそんなに重圧は違うんだろうか


前にもヌナに「彼ばかりを苦しめちゃダメ」って言われたっけ。
そのときの僕は子供扱いされたことに酷くショックで、それこそ子供みたいにヌナに反発したんだった。



「…テミナ?」

上の空から呼び戻されると
ヌナは寂しそうに分厚い唇を尖らせていた


聞くところによると
ヒョンは極たまに自分の心に鍵を掛けて
一心同体のヌナですら読み取れないことがあるという。
あの時と、あの時と…と教えてくれたのに
あー、あれか、これか、と納得がいく


そして今、また彼の心が読みにくくなってると。


一番近くで、一番初めに気づくのに、
いつも、自分は何もできないんだと
ヌナは呟いた。







「もうどうしようもないくらい、あたし、心配で…」

もうどうしようもないくらい、あたし、好きなの

そう言ってるんだと思った。




ヒョンのことを思って姿を現すことで
ヒョンが却って疲れてしまう。
だってヒョンとヌナが2人いても
体も脳みそも1つで
ヌナが帰ったあとで辻褄の合わない自分に
ヒョンの心も。



何に替えても守りたいこの人を
あたし、苦しめてるんじゃないかしら


もう少しでその切れ長の目から溢れ出そうで
僕は急いでそれをせき止めるものを探した。




「大丈夫だよ、ヌナ。ヒョンのことは僕らが守るから、ほんとうはきっとヌナが一番に気づく訳じゃないかもしれない。だって僕らもいつもヒョンのそばにいるんだから。ヌナはヌナで、ヒョンのことを見つめていて。」

そうして、また僕の前にやって来て、、、




涙の溜まった目が細まって、ヌナは僕の手に自分の手を乗せた



よその人が見たら気持ち悪いと思うんだろうか。
顔も声もヒョンと同じだってことは僕もちゃんと分かってる。
でも本当に違う人で


思わず音となって口から


「ヌナはヌナだ」

脈絡も無く零れた言葉に

ヌナはその目を見開いて
ほっぺたを赤くした。



「テミナはほんとに優しいひとね。」


にっこりとした顔が近づいて、濡れたまつ毛が触れて分厚い唇の弾力と共に頬骨の上が温まる。
僕の心臓は、もう二度と止まらないんじゃないかってくらい勢いを増した。



きっと本当は彼とそういうことをしたいに違いないのに。

彼女は決して向かい合うことのできない彼を想う。


あなたと向かい合えるのはこの僕だけだというのに。






またね、と言って別れる前に

「テミナはほんとに彼が好きね。」


そう、だけど、

思わずの苦笑いを彼女は勘違いして


この人をお願いね、って今度は手を握ってくれた。
僕の心臓は今日何度目かの賑わいをした。






数分後に現れたその体は
男ジンギでも、女オニュでもない

SHINeeのリーダー・Onewのものだ。


僕は今日もその姿を見つめる。


彼女が僕を見てくれるように
彼女が託した彼を守るために




僕は馬鹿
一つの体に嫉妬と横恋慕を同時にして

文字の通り
入る隙なんてないのにさ。


それでも僕は
彼の方を見て
彼女を見つめる


きっとすでにこの意味のある視線には気付いているんでしょ。
さっきのヌナみたいに履き違えて捉えられたら、
僕の想いは叶ったことになるの?




これは
三角形にすらならない
いびつな一方通行



  

  
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~ Comment ~

おぉぉ~!!!

すごいデス!!!

いつもいつも、読み進めていくうつに気づく、「あぁ!!」

が毎回すごいデス!!


ともさん

こんにちは~♪
また来てくださったんですね(*^^*)
なんとかうまく仕掛けられたみたいで安心しました=3
えっと、キュミンペンさんですよね、幸せなキュミンを書くべくがんばりますんで、また遊びに来てくださいね<3
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